ハイブリッドとは?
■虫歯治療について
虫歯は進行具合に応じて治療法が異なり、歯の表面のエナメル質が溶けたC1という状態の場合、虫歯部分を削りレジンという白いプラスチックを詰めるため、補綴物は必要ありません。
しかし虫歯がエナメル質の内側の象牙質まで進行した場合、レジンで修復できない場合があり、インレーという詰め物で治療を行う必要があります。
さらに虫歯が神経まで達した場合、激しい痛みに襲われます。歯の神経や血管が通っている歯髄という部分が虫歯菌に侵されてしまっているため、歯髄を取り除き、根の治療である根管治療を行い、クラウンという被せ物を装着して機能を修復させます。
なお歯がすっかり溶けて根っこだけになった歯は残念ながら残すことはできず、抜歯となります。
■ハイブリッドについて
ハイブリッドとは「異質なものが組み合わさった複合型」を意味します。ハイブリッドと聞くと、まず「ハイブリッドカー」という自動車を思い浮かべる方が多いでしょう。ハイブリッドカーとは、エンジンと電気モーターを使って走る車で、エンジンと電気モーターという異なる2つの動力を搭載しているため「ハイブリッド」と呼ばれています。
歯科治療におけるハイブリッドとは、「セラミックの粒子とレジンを混ぜた補綴物」になります。
ハイブリッドの特徴は、セラミック単体の強度を、レジンが和らげることで周りの歯にダメージを与えにくいことです。またオールセラミックに比べると費用を安く抑えられることもメリットと言えるでしょう。そして金属を使っていないため、歯ぐきの変色を引き起こすメタルタトゥーや金属アレルギーの心配もありません。
しかしオールセラミックと比べ、レジンは経年劣化とともに変色しやすいというデメリットを持ち合わせています。
またハイブリッドは保険が使えるものと保険が使えないものがあります。
<保険適用のケースについて>
ハイブリッドが保険適用されるケースは「CAD/CAM冠」と呼ばれるハイブリッドセラミッククラウンで、適用される部位が限定されます。
これまでは上顎の小臼歯(上の4番目と5番目の歯)のみハイブリッドセラミッククラウンが適用となっていましたが、2017年12月に保険算定され、条件付きで下顎第一大臼歯(下の6番目の歯)にもハイブリッドクラウンが適用されるようになりました。
これまでは金属アレルギーの症状がある方のみ認定されていましたが、保険算定が行われたことで選択の幅が広がったと言えるでしょう。
ただし対象となる全ての部位にハイブリッドセラミッククラウンが適用されるとは限りません。歯の状態によりハイブリッドセラミックでは不安が残る場合があるため、歯科医師とよく相談してください。
なおハイブリッドセラミックインレーは保険適用とはならず、自費治療のみとなります。
■ハイブリッドの特徴をよく把握しておくこと
白く審美性にも優れているハイブリッドは柔らかさを兼ね備えた歯に優しい素材で費用もオールセラミックと比べると安くなりますが、汚れやすいなど欠点も存在します。ハイブリッドの特徴を把握し、ご自身の噛み合わせにハイブリッドが適しているかどうかしっかりと確認しましょう。